「ミッドサマー・イブに最も魔力を秘めるハーブ」と言われているのが、セントジョーンズワート・ヴァーベイン・ヤロー・オーピン・マグワート・ワームウッドです。今回はその中から、3種類のハーブについてお話します。
<セントジョーンズワート>
古くから妖精除けのハーブとして知られてきました。「妖精」と聞くと、私達はよいイメージを思い浮かべますが、中世ヨーロッパの人々はそうでもなかったようです。ピーターパンに登場するティンカーベルのような可憐な容姿を持っていても、対人間に対してはとても恐い存在だったりしました。なんだか日本の「妖怪」に通
じるところがありますが、場合によっては 妖怪などより残酷な面も持っていたようです。それで中世の人々は、その妖精や精霊が活発さを増すと言われる危険な日には、このハーブを使って我が身や家畜を守ってきました。
近年「セントジョーンズワート」は、 抗うつ感・メランコリー・不眠などによいと言うことで人気が高まっています。単品でも美味しく飲めるハーブティーです。
<ワームウッド>
殺虫・防虫用のハーブとして一般家庭や病院などで大活躍したハーブです。このハーブはリキュール「アブサン」の香り付けに使われていたことで知られていますが、この香りに含まれる「ツヨン」という成分に習慣性があることと、飲み過ぎると幻覚を見るようになることから、このお酒は評判を落とし、製造禁止になりました。(現在は成分規制をもうけて販売しています。)
「アブサン」と聞くと思い出すのは、画家ゴッホの耳に包帯を巻いている自画像。あれは彼がこの酒に溺れ、精神錯乱を起こして自分で耳を切り落とした後に描いたというエピソードです。このゴッホの「耳切り」事件は芸術界の謎のひとつで、当時共同生活をしていたゴーギャンとの言い争いの末、衝動的に自分で切ったとか・ゴーギャンに切られたとか・・・いずれにしても、当時の芸術家達は皆「アブサニスト」と呼ばれる程「アブサン」を好んで飲んでいたらしいので、どちらかがやったとしても不思議ではない気がします。
そんな話も含め、この「ワームウッド」は強いパワーを秘めたハーブなんだなぁと思います。有益に利用される部分では、きっと頼りにされていたに違いない!
別名「ニガヨモギ」といい、ロシア語では「チェルノブイリ」・・・悲惨な事故を思い出しますが、銀緑色の草姿の美しい涼しげなハーブです。
<マグワート>
ミッドサマーイブに扉に飾り、魔除けとして使われた。「マグワート」と呼ばれる植物の中でも、主に2品種がよく使われるようです。その一つが別
名「ミッジ(midge)・プラント」で、ミッジは小虫のこと。昔から虫避けに使われ、今でもモスバッグを作る時に使います。マグワートは日本でいう「ヨモギ」のことで、「灸」に使う「モグサ」にも使われます。「虫にくわれた時はヨモギの葉を揉んで、汁を擦り込むと腫れずにすむ」という民間療法がありますが、やはり虫と関わりが深いようですね。
名前の由来には色々あって、ビールジョッキの「マグ」から転じたと云われるものもあります。これはホップがなかった頃、マグワートをビールの香り付けに使っていたというところからです。
参考文献 「ハーブ歳時記」北野佐久子/著 東京堂出版