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クリスマス・シーズンがやってました。ハーブを愛する皆さんは、すでにリースの飾り付けを終え、クリスマスを待つばかりでしょうか。
円形のリースは古代ギリシャ時代から「永遠」「聖なるもの」「完全」「栄光」などを表すシンボルとされてきました。伝説によるとリースは作る素材によって意味があり、サイプレスは腐朽しにくいことや生死の伝説と関わりが深いことから「永遠の命」を意味し、ベイ(月桂樹)
のリースは古代オリンピックの勝者に送られたことで知られています。そしてクリスマスに欠かせないヒイラギには「魔除け」の意味がありました。
おりしも世界中でベストセラーになった「ハリーポッターと賢者の石」の映画が話題になっています。迷信や魔法が信じられていた時代、「賢者の石」ならぬ
賢者の植物・ハーブがどのように用いられていたかをご紹介しましょう。
ミステリアスでファンタジックな中世の世界へ・・・。
中世のヨーロッパでは、生活や医療にハーブは欠かせないものでした。そして魔除けやおまじないにも。
ローマ帝国のヨーロッパ遠征ともに もたらされたキリスト教は、13〜14世紀頃には繁栄の絶頂を迎えます。しかし14〜15世紀頃になると、キリスト教内の崩壊や宗教改革により、その教えは混沌とした時代をむかえます。
凶作などの天災やペストなどの疫病が蔓延し、人々は悪い出来事はすべて「悪しきもの(悪魔や悪霊)」の仕業とすることによって
不安を解消していきます。その思想の犠牲となり、罪もない人々が異端者狩りや魔女狩りで処刑されたのも、この時代です。
そんな中、病気に苦しむ人々を助けたのは修道士(修道女)です。神学だけでなく建築・数学・天文学・化学・医療などの知識を持つ彼らは、庭にハーブを育て、治療の為に役立てていました。現在私達がハーブを有効利用できるのは、こうした彼らの経験の積み重ねのおかげです。彼らは病気の治療だけでなく、ハーブの効用や伝説を用いて、疫病や人々を不安に陥れる悪魔から身を守る方法も教えました。
しかし修道士達の教えは、キリスト教の教義にそった範囲と信者の中だけにとどまります。貧しく教会に行くこともない人々やキリスト教の教えがとどかない土地では、昔からその土地に伝えられる信仰を頼りに暮らしていました。日本の場合もそうですが、その信仰はたいてい
自然界に存在するものすべてに神々が宿っていて、人々に恩恵を与えたり、戒めたしたりするものです。それらを伝導するのは、特殊な能力を持つシャーマンであったり、尊敬を集める長老・薬草や出産の知識を持つ女性などです。彼らは人々に、生活をしていく上で必要な知恵を教えるばかりでなく、「おまじない」「恋愛術」といった人々に楽しみを与えることや、貧しさの中で生き残るための「避妊法」「堕胎」なども行っていました。
その後 キリスト教の教えが伝わるようになると、その信仰や知識はキリスト教と融合したり、「迷信」「おまじない」といった形で残っていきます。しかし特殊な能力や知識を持つ彼らは、教会や権力者にとっては異端であり脅威を感じる存在になっていき、ある者は人里を離れた森の中に住んだり、その能力を隠して暮すようになりました。前記しましたが、そうした人々が後に「魔女(女性が大半でしたが、男性もいます)」の嫌疑をかけられ、悲しい運命をたどることになります。
中には確かに悪魔を信仰する人々もいましたが、それ以外は現在でいう化学者(錬金術師や魔法使い)・天文学者や数学者(予言者や魔法使い)・助産婦や保健婦(魔女)
などです。
「魔法使い」「魔女」と聞くと何やらオカルト的イメージがありますが、彼らは化学や医療のエキスパートだったのですね。「魔女が大きな鍋で何やらグツグツ煮ている!?」きっとそれはハーブたっぷりの健康スープに違いありません。
さて、もうすぐクリスマスです!ツリーやリースなどのクリスマス・デコレーションに、伝説や迷信にまつわるハーブを加えてみては
いかがですか?「おまじない」や「魔法」のパワーが、あなたに何か素敵な出来事をもたらしてくれるかもしれません・・・。
<ハーブにまつわる云われ>
ハーブには古代から伝わる神話や学名の由来などがありますが、今回は中世の「云われ」に限ってご紹介します。
ここで記す「魔術」「魔女」などは、人々に悪行をする方のものです。
中世では特殊な能力を持つ予言者や魔法使いなどが、時の権力者に助言を与えたりしていました。
「アーサー王物語」の魔法使いマーリンなどのように、中世の物語には主人公を助ける魔法使いが多く登場します。
アンジェリカ 「天使の草」疫病の解毒すると信じられていました。
サイプレス 「永遠の命」
タイム 疫病よけ 「能力(魔術界では霊力)をひきだす」競技にのぞむ騎士に与えられた。
ディル 「魔術から身を守る」愛の薬にも使われました。
ベイ(月桂樹) 「栄光」「勝利」枕の下にいれて寝ると、よい正夢を見る。
ヒイラギ 「魔除け」 ケルト民族が崇拝した「聖なる木」
ローズマリー「聖母マリア」「慈愛」悪霊を鎮める
クローバー 「三位一体」葉の形を見れば納得です。
ジュニパー 「清めの力をもつ」
セージ 「長寿」「永遠の命」
セントジョンズワート 「体から悪霊を追い出す」
ヒソップ 「罪を除く」聖書にも登場する神聖なハーブ
フェンネル「悪魔や災いから身を守る」飾ったりドアの鍵穴につめたりしていました。燃やすと逆効果
。
ベルベーヌ(バーベイン) 十字架の下から伸び、キリストの傷を癒した「神聖なハーブ」。
ケルト民族のドルイド教が最も神聖視した。魔術にも使われるハーブ。
ガーリック「悪霊を遠ざける」「魔術から身を守る」 ドラキュラでお馴染みですが、悪霊を住みかにとどめる効果
も。
フラックス「魔女を遠ざける」ドイツではこの花を家の前に植えるそうです。
マジョラム 「霊を鎮める」タッジーマッジーにも。
レモンバーム(メリッサ) 「若さ」 「不老長寿」
レモンバーベナ 魔女が作る愛の薬に入っていた。
ヤロウ 「悪魔を遠ざける」「幸福が約束される」枕の下にいれて寝ると、真の恋人を夢に見ることができる。
オレンジの花(ネロリ) 「純潔」「愛の確保」貴婦人の気付け薬にも。
バジル 魔術で「2つの石の間でバジルをつぶせばサソリが創り出せる」と云われていた。
チコリと白クローバー 花を枕の下にいれて寝ると、真の恋人を夢に見ることができる。
青い花 ゲルマン民族は稲妻と同じ色をした青い花に雷神(ビナール)と同じ霊力があると信じていた。
青い花は魔術でも「鍵をはずす」「銃弾にあたっても死なない」「未来の結婚相手を告げる」などの云われも。
参考文献 「メディカルハーブ」英国ハーブソサイエティ編
/ 日本ウォーグ社
「大地の薬」スザンネ・フィッシャー著 / あむすく
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 / フレグランスジャーナル社
<リース>
今年のリースに、上記のお好きな「いわれ」を持つ植物を加えてみて下さい。
<タッジーマッジー>
霊力があると信じられていたハーブや、殺菌力の強いハーブなどを集めて作った香りの強い花束。特に貴婦人達の外出時には欠かせない持ち物で、魔除けや疫病から身を守ると信じられていました。香水の発達背景と同じく、お風呂に十分に入れなかった中世の人々の体臭をごまかす効果
や、きついコルセットですぐに失神してしまう貴婦人の「気つけ薬」という実用面もあったと思われます。
<ポマンダー>
やはり魔除けや疫病から身を守るために持ち歩いたり、入り口や部屋に吊したりしました。オレンジやレモンにクローブ(丁子)を刺して作るフルーツ・ポマンダーがポピュラーですが、もともとはポム(フランス語のリンゴ)にアンバー(アンバーグリス)の香りを付けて作ったという説があります。フルーツを使ったものだけでなく、金・銀・象牙などのすかし彫り細工で作った球体のものに、ハーブなどをつめたものもあります。
見た目も可愛らしいポマンダーは、 室内のアクセサリーだけでなくリースやツリーのオーナメントにもなり、プレゼントとしても喜ばれます。キッチンに置けば、殺菌・防虫・食欲を増進させる効果
があります。
材料
オレンジ・レモン・ライム・姫りんご などのフルーツ、クローブ(頭のついたもの)を沢山
楊枝か竹串、リボン、ハーブパウダー(クローブ・シナモン・オリスルートなど)、紙かビニールの袋
作り方
・フルーツに楊枝や竹串で穴をあけ、クローブをびっしりと刺し込んでいきます。
ただし乾燥させると縮むので、ほんの少し間隔を空けること。
仕上げのリボンをきっちり結びたい方は、リボンをかける部分を残して刺し込んで下さい。
あらかじめセロテープか造花用テープなどで貼っておくと目安になります。
・刺し終わったら、ハーブパウダーが入った袋に入れ、口を閉める。(テープを貼った方はここで取る)
パウダーがまんべんなく付くように、時々ころがしながら、これを2日間ほど続ける。
・取り出して、余分なパウダーをはらい、風通しのよい場所で、完全に乾燥させます。
とにかく腐る前に乾燥させること。空気が乾燥する冬場はポマンダー作りに適しています。
・リボンを結んで出来上がり。
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